単調な漫画を脱却したい

2021/12/25 noteに投稿したものを少し編集。
適当(適切)に選んだ商業誌をネームレベルの精度で模写することで分かったことまとめ

発端はあちこちに添削や持ち込みをやって「なんか単調で退屈」という指摘を頂いたこと。
以下、商業誌と何が違うかを手を動かして検討した結果気付いたテクニック。

1.コマ割りに変化をつける

斜め割り
コマを斜めに割ることで読者の視線の流れを速めます。

ブチ抜き
コマを跨いでキャラクターを描き、際立たせます。

枠外
コマとコマの間を広く取って絵やフキダシを入れます。

重ねる
コマを重ねます。

タテ割り
ページを縦に分割します。
あまり情報を詰めすぎると読者の視線が迷子になるかも…。

1ページ全部
1ページ丸ごとを使って迫力やインパクトを加えます。
連載1話分の中で、だいたい1回はこれか見開きが登場してました。スナック感覚で使いたい。

見開き
ここぞというときにキメられると格好良いよね…

2.カメラ操作に変化をつける

ダッチアングル
カメラを傾けることで画面に動き、不安、アンバランスさなどが加わります。

俯瞰
消失点を上の方に取ります。映画では、キャラクターを弱々しく見せるときなどによく使われるそうです。

アオリ
消失点を下の方に取ります。映画では、威圧感を与えたり堂々とした雰囲気を出すときなどによく使われるそうです。

ショットの使い分け
カメラを離したロングショットからぐっと近づけたクローズアップまでを操作して、メリハリを付けつつ読者とキャラクターの距離をコントロールします。
カメラが近くなるほど読者はキャラクターに感情移入しやすくなります。


3.構図を工夫をする

非対称
コマ内の「モノ」の配置を非対称にしたり、背景の消失点を中央から外して取ったりします。また、真正面や真横からのアングルを避け、モノの複数の面を描くようにします。

斜めのライン
2点透視図法や3点透視図法を使ったりして斜めのラインを作ります。
メインになるモノ同士を結んだ線も斜めになるようにします。

奥行き
前景・中景・後景に分けて描いたり、モノをオーバーラップさせたり、手前にあるモノの輪郭線を太くしたりすることで画面に奥行きを出します。

大切なのは「正解」ではなく「使い分け」

要するに漫画における『退屈』というのは「水平・垂直な線ばかり」で「奥行きがなく」「等間隔で同じ」ことによって生じている。

かと言ってそれらを排除すれば絶対面白い絵になるかといえばそうじゃない。

水平(垂直)なラインや等間隔の配置は「秩序、安定、静寂」を表すのに効果的だし、ごく一部だけを変えた「ほぼ同じコマ」を並べる手法は変化を際立たせるのに有用だから。

表現したいもの、与えたい印象にマッチした絵になるようテクニックを使い分けることが重要。