noteに投稿の『映画みたいな構図の漫画を描きたい』を再編集。
今回はコマ1つ分の構図を決めるとき、映画っぽい画面になるよう自分が気を付けているポイントについて。クリスタの3D機能を使うのが前提の話。
2021年秋頃までに各所からもらった指摘から商業誌研究などを経て、以下が課題に
- 正面or真横からのバストアップ~顔や手のクローズアップが多い
- アオリ俯瞰・引きのショットが少ない
- ↑2つが原因で、画面が単調に見える
何も考えないで絵を描くと正面か真横からの水平アングルになる。これが画面が単調になってしまう根本的な原因だった。
以下は改善前(特に残念なやつ)とその後。
構図やショットが与える印象
問題点は「水平方向からのバスト~クローズアップが多く、単調」というもの。
ただし闇雲にバリエーションを増やせば良いというわけではなく、意図した印象を与えるためにショットや構図を使い分ける必要がある。
1:キャラクターと読者の距離
まず基本として、カメラが近くなるほど読者はキャラクターに感情移入しやすくなる。カメラとキャラクターの距離=読者とキャラクターの心の距離。
目や表情を隠したり、画面手前に窓や障害物を置くことでも距離が遠くなる。
2:俯瞰構図
キャラクターを弱々しく見せる効果がある。
場所やモノの位置関係を説明する場合にも便利で使っている。
3:アオリ構図
威圧感を与えたり堂々とした雰囲気が出るらしい。そうかな。
4:ダッチアングル
カメラ(水平線)を傾けることで画面に「動き」「不安」「アンバランス」などを加える。
コマ割りを斜めにすることでも同様の効果が得られる。
実際に3Dを使って構図を作る例
屋内での会話シーン「レナがユウに自らの過ちを告白する」場面を例に手順をメモ。
ネームを用意
「罪悪感で顔を俯かせながら懺悔するレナを、少し困惑しながら見つめるユウ」を客観的に眺める感じにしたかったので、バストアップより少し引き気味のフカン構図に。
もともとは最初に台詞を打ち込んでそれを元にネームを描いていたが、絵を入れる前にキャラクターの心情や仕草、どの人物に感情移入させるか(=誰がメインになるか)をト書きのようにメモする手順を挟むようにしてみた。とてもいい感じ。
3Dでセットを作る
まず新規作成したキャンバスの上に、3Dで部屋のセットを作成。
キャンバスは350dpiで2000px程度にしないと重くて落ちるので注意。ていうかこれでも重くて落ちる。
人形にポーズをつける
キャラの身長にサイズを合わせたデッサン人形を配置して必要があればポーズを付ける。だいたい頭の位置や身体の比率が分かればOK
コマの中に貼り付ける
3Dレイヤーごと原稿ファイルにコピペし、下絵に合わせてカメラアングルやオブジェクトの配置などを調整。
モノの位置関係は大体合ってればいいので適宜見栄え良くずらしてOK。
ツールプロパティの「パース」を調整することで望遠 ⇔ 広角を表現できるが、数値をあまり増やしすぎると画面が歪む。ダッチアングルは「ロール」で対応。ラスタライズして回転ツールでも可。
構図を決めるときの注意点
正面・真横・真後ろからの水平アングルを避ける
はっきりとした目的がない限りはなるべく使わないように。
タンジェント(輪郭の接触)を避ける
ん~、かゆい。
オブジェクトを重ねて奥行きを出す
なるべく奥行き方向に人やモノが重なるように配置。
ネーム段階では2人が真横に並んでいる単純な構図だったけどこっちのが映画っぽい。
3Dからの微調整
画面の見栄えが良くなるよう3Dのアタリを適宜修正することも。ラスタライズ→拡大縮小でパースの嘘をつく。
下のコマは3Dの下絵の段階ではゼノンがもっと小さい。
あとはそれっぽく見えるようオブジェクトのサイズを修正して描いたり。例えばここでは黒い天板のラックが大きすぎたので少し小さく直した。モデリングのとき実在の家具を参考に寸法とったんだけど、その家具自体が自分のイメージより大きかったっぽい。
このアングルだとイケメンになりがちなユウ
その他細かいこと
関節部でトリミングするとかゆい
ジェスドロで柔らかく自然に
今回は以上!