立ち絵のキャラが立たずに数日悩んで、ひとまず良い感触を掴んだので忘れないうちにメモ。
とりあえず今のところは素体のラフまで。
このあとディティールを入れる際に上手くいかず方法論が多少変わるかもしれない。
それとこの記事はキャラ設定画などに使う正面向き立ち絵のアタリの話で、背面側面や水着とか半裸を描くときはもっと詳しく勉強する必要がある。現段階の知識で私は描けないから。
画像は全員、本編で名前が明かされている生存キャラだよ
(と思ったけど1人脇役すぎて名前出てきてなかったわ)
最初は男性の身体メインで書かれている美術解剖本(主に「スカルプター」と「マイケルハンプトン」)を見てアタリをとっていたけど、男女できっぱり分けた方が上手くいったので今後はそうする。
立ち絵の基本事項にしようと思ったこと
- 最初に本番の半分~4分の1くらいのサイズのミニラフで描く
- まず考えるのは頭部と胸郭のボリューム
- アタリは筋肉のパーティングラインではなく形の印象を表すシェイプの組み合わせでとる
- シェイプの取り方に正解はないので都度好みの形を模索する
- 骨盤のボリュームは球体(の変形)ではなく直方体(の変形)で捉える
- 足の接地部分は前後に奥行があることを忘れないようにする
- アイレベルが高いので足の甲はわりとしっかり見せる
- なるべくネガティブシェイプを作ることで単調さを避ける
概念的な言葉なので意味の全てを含む説明はできないけど、シェイプは実際の形状を単純な幾何学図形にデフォルメしたもの。ボリュームは体積とか重さを感じさせるもの。ものというより脳内イメージに近いかも。形はふわっとしている。
シェイプは立体で捉えて考えるのが目標だけど、現段階では平面のシルエットで充分。
頭の中でボリュームを想像しながら手はシェイプを描くといった感じ。
あとはこの記事内での言葉の定義だけど、「アタリ」はボリュームとシェイプの中間の意味とする。
シェイプは単純な幾何学図形(=円と三角形と四角形)をそぎ落としたり面取りすることで作っていくんだけど、『アタリ』は「切り落とす前の球体」とか「面取りする前のブロック」とか「カーブさせて曲線にする前の直線」とかを指す。
女子の部
女子立ちの基本
- コントラポストを誇張
- 頭部に動きをつける場合は「頭部を傾げる」。
- 胸郭のアタリは縦に引き伸ばした球体が基本。卵型では考えない。
- 胸郭の切れ込み(下に進むパックマンの口みたいな部分)は深く狭く(60~45度)
- 腰に動きをつける場合は「骨盤を前後 or 左右に傾ける」。
- 軸脚を決めて描く。骨盤は軸足側が上がる。
- 脚のラッピングラインも描く
- 脚の一番太い部分は脚の付け根ではなく太ももの上部
- つま先は内股
コントラポスト
左右の目、左右の肩の剣先、骨盤の左右の腸骨稜をそれぞれ結んだ線。
シルエットの話なので立体や奥行を考える必要はない。
2本をハの字にしたら残りの1本は「ハ」のどちらかと平行にする。
「すべて平行にしない」をすると自然なポーズにならない。
ハの字をオーバーにするとより女性らしくなる。逆に、控え目にするとカッコいいポーズになる。
片脚に体重を乗せる場合、軸脚側が必ず上がる。
足をクロスさせる場合は腰を水平気味にすると姿勢が安定する。
安定した立ち姿勢の場合、鎖骨の中央あたりから真下に降ろした線の上に重心が乗る。
このあと「男子の部」に関連してだけど、「カッコいい系」や「男勝り系」のキャラは腰の動きを控え目にしたりつま先の向きを正面~外側に意識してつけるといい感じ。
余談:
クロスさせた脚の見た目上の長さを変えたり高さを変えたりすると、姿勢の均衡が崩れるので歩いている絵が描ける。
コントラポストは慣れるまでは法則を見つけようとせず、姿勢を決める際は自分で色々ポーズをつけてみる方がいい。
男子の部
男子立ちの基本
- コントラポストは控え目にする。なので線を引いたりして考えなくていい。
- スーツを着せるイメージで描くとメリハリがつく(cf. 女子はレオタード)
- 頭部に動きをつける場合は「首を倒す」。(頭を傾げると少年らしい印象になる)
- 胸郭のアタリは卵型が基本。思ったより一回り大きく描くといい。
- 胸郭の切れ込みは浅め広め(90度)。
- 腰に動きをつける場合は「骨盤を前に押し出す」。
- 軸脚をはっきり決めないか、決めても目立たせないようにする
- 脚はラッピングラインの代わりに「スラックスの折り目」で考える
- 脚の一番太い部分は基本的にももの付け根。
マッチョキャラの場合はももの真ん中よりやや下にピークを持ってくるといい。 - つま先は常に外向き。女性がやると股関節がほんのり痛くなるレベルで開く。
男子ならではポイント
- 立ち絵構図の場合、身体を左右にひねった時に奥の腕が見えなくなることはほとんどない。というか奥の腕が見えなくなる角度は横に向きすぎなので原則避ける。
- 腰と腕の間に隙間を作ってスマートに見せる。
左右片方でもいいのでこれをやらないと太って見える(着ているものにもよるけど)。 - 腹部のアタリは中心線と、胸郭下の先端から股間部分に向かった線を使うのが好き。
腹直筋をイメージしている。 - ちん●んスペースは真面目にかなり重要。恥ずかしがってはいけない。
女子との違いポイント
身体のひねりは女子が頭・胸・腰を個別に考えるのに対して男子は全身で緩やかにひねる。
板コンニャクをねじるようなイメージ。
胸部はまず一度逆三角形部分のアタリをとった後、さらにそれをデカく厚く調整する工程を挟む。少年キャラは控え目で良いけど、この点をちゃんと意識すると華奢な中に男らしさが出るので好き。
ぱっと見の印象としては「ガンダム」と「マイケルジャクソン」を目指すといい
(※ 個人の好みです)
メンズの脚が激ムズ問題
いつも服で誤魔化していたんだけど、良い機会だからそろそろ向き合いたい。
まず、筋肉の構造を学ぶのは後回し。脚全体のシェイプを綺麗に描くのが最初の手順。
そして脚の向きは前方斜め45度と真横だけでだいたい充分。
前面はひし形をふたつ連結させたような形…これが難しいから練習。
あと何の筋肉によるでっぱりなのか分かった方が綺麗に描きやすいのでこのあと調べておく。
人間の脚の骨は湾曲しているし、ドローイングで直線は使わないものだけど、脚全体の印象を決めるセンターラインは直線ツールを使って補ってやると描きやすい。
とはいってもこれは私の技量が足りなくて「限りなく直線に近い曲線」を引けないだけだから、将来的にはフリーハンドで引けるようにする。もっと鍛錬なさい。
カーブの交差のこと
一般に「男性は直線で」「女性は曲線で」というけどドローイングの勉強をすると「人体に直線は使わない」とか言われるのでダブスタかよと思ったんだけど、多分こういうこと↓
ポイントとしては以下の通り。
男性はCカーブの外側どうしを交差させて尖ったシルエットを作り、女性はCカーブの内側で丸いシルエットを作る。図の上段は極端にしたもの。
あと、男性の場合は基本的に鋭角は避ける。尖りすぎだなと感じたら面取りするといい。
総括
全身の絵はずっと目を背けていた課題だったので、今回すごく勉強になった。何となく立ち絵を描き始めて良かった~性別による身体構造の違いや描きわけに特化した話は持っている本に全然書いてなかったこともあって、こんなに違うんだって気付くのに時間がかかったよ
2024/7/22 追記:
『ソッカの美術解剖学ノート』(p.464~465)に書いてありました。持ってても積んでたら意味ねーんだよば!!!!!!!
男女平等とか言っても身体の構造の違いは必ずあるもので、基本を知っておくと「中性的な体系のキャラ」とか「仕草が逆の性別らしいキャラ」とか幅が広がるのが嬉しい。
心と身体の性別とか、どっちの性を好きになるかとかは別の話ね。
というわけでひとまず終わり!